稽古場の白竹筒の掛け花入に、椿と貝母(ばいも)が活けられていました。 貝母は、バイモユリ、あるいはアミガサユリとも呼ばれる、釣鐘形の楚々とした花です。椿のような花と取り合わせると、その控えめな佇まいによって、かえって椿の存在感が引き立つように感じられます。はじめて「貝母」という名を耳にしたとき、その響きのどこかやわらかな趣に心惹かれました。花の姿が、母貝が子貝を抱くように見えることから名づけられたと知り、なるほどと思ったものです。この花を上から見下ろすと、ツリガネソウのように単色でおとなしい印象を受けます。しかし、床柱の掛け花入を見上げ、その内側を覗くと、濃いえんじ色の網目模様が現れます。花全…