10年前。私はどこにいたのだろう。 思い返せば、あの頃は二度目の東京暮らしの四年目だった。 夫が転勤族で、いろいろな土地を渡り歩いてきた。 その中でも、14年前に引っ越してきた多摩地区は特別だった。 鳥の声で目が覚めるほど自然が豊かで、都外の人には想像がつかないほどの“東京らしくない東京”。 初めて多摩に住んだときも、駅前に畑が広がっていて思わず 「ここ、本当に東京?」 と呟いたのを覚えている。 その後、大阪に移り住み、車を盗まれたり、いろいろな事件に巻き込まれたりした。 それでも大阪の人たちは温かくて、 「東京から帰ってきたん?おかえりー」 と迎えてくれた。 再び東京へ戻るときは、 「また東…