訓読 >>> 2550立ちて思ひ居(ゐ)てもぞ思ふ紅(くれなゐ)の赤裳(あかも)裾(すそ)引(ひ)き去(い)にし姿を 2551思ひにし余りにしかばすべをなみ出(い)でてそ行きしその門(かど)を見に 要旨 >>> 〈2550〉立っていても座っていても思われてならない。紅の赤裳の裾を引きながら歩み去っていったあの娘の姿が。 〈2551〉恋の思いのあまり、どうにもならなくなって、つい出かけてしまった。愛しいあの子の家の門を見るために。 鑑賞 >>> 「正述心緒(ありのままに思いを述べた歌)」2首。2550の「裳」は、女性が腰から下に着た衣。「赤裳裾引き」の語は、山上憶良の歌(巻第5-804)や高橋虫…