訓読 >>> 1717三川(みつかは)の淵瀬(ふちせ)も落ちず小網(さで)さすに衣手(ころもで)濡れぬ干(ほ)す子は無しに 1719照る月を雲な隠しそ島蔭(しまかげ)に我(わ)が船(ふね)泊(は)てむ泊(とま)り知らずも 要旨 >>> 〈1717〉三川の淵にも瀬にも残らず小網を張っているうちに、着物の袖が濡れてしまった。干してあげようと言う子もいないのに。 〈1719〉明るく照る月を、雲よ隠さないでおくれ。島陰に我らの舟を泊めるのに、暗くて船着場が分からないではないか。 鑑賞 >>> 1717は題詞に「春日が歌」とあるのみで、春日蔵首老の作であるかは確定しません。巻第9のこのあたりの題詞は非常…