『一月の声に歓びを刻め』北海道の洞爺湖、東京の八丈島、大阪の堂島という三つの島を舞台に、独立した三章立て(最終章はあり)で物語が展開される。洞爺湖と堂島の物語は、性犯罪被害者の家族と被害者自身の長年に渡る苦しみと、それから逃れられないながらも懸命に生きようとする姿を描く。 3つの物語の主役は、それぞれカルーセル麻紀、哀川翔、前田敦子。 物語自体に繋がりはなく、3つの物語が三人のそれぞれの色にしっかり染められていたのが印象的だった。 洞爺湖編は、カルーセル麻紀が性被害を負った幼い娘を救うことができず、娘に傷をつけたのと同じ「男性」の性器を除去することで自らを罰した。 そして老境になるまで、娘が亡…