この季節に、私の消化器の状態を維持してくれている最強の惣菜といえば、ひじきと野菜の炊き合せだ。ひと鍋仕立てれば四日くらいは食せるが、暑い季節はどうしても味が変りやすいから、やはり晩秋から冬の食いものである。 季節が巡り来ると仕立てるわけだが、去年の加減を忘れてしまっているから、またぞろ思い出しながらの手探りだ。勘を取戻せば同じ味に到達できるが、なんだ、こんな些細なことを忘れていたのかと、自分に腹が立つ。で、書いておく気になった。ただし、人さまにお奨めはできない。私一個の勝手なやり口である。 技芸はすべからく、画になるまでに時間がかかる。日常日本語で暮しているのだから、文章なんぞだれにでも書ける…