仕事や家庭のことで心がざわつくとき、「正義って何だろう」と考えることがあります。私も転職を繰り返したり、親の介護に関わったりするなかで、理不尽さを感じる場面にたびたび出会いました。そんなときに思い出したのが「仕掛人・藤枝梅安」です。 藤枝梅安は、江戸時代を舞台にした池波正太郎の小説。表の顔は腕の立つ鍼医師、裏の顔は金で依頼を受けて悪を裁く「仕掛人」。依頼人の思いを背負い、冷静に仕事を遂げる姿には、単なる勧善懲悪とは違う深みがあります。私は若い頃に読んだきりでしたが、「秩序と正義への欲求」という言葉に触れたとき、自然に梅安の姿が浮かんできました。 最近では映画化もされ、また注目されています。豊川…