1943年生まれ.東京大学教授を経て,現在日本大学教授.専門は美学史.
著書に『美学辞典』(東京大学出版会,1995年),『フランスを中心とする18世紀美学史の研究――ウァトーからモーツァルトへ』(岩波書店,1999年),『美学への招待』(中央公論新社,2004年)ほか.
藝術について。 そんなたいそうなテーマで書いて大丈夫か?もとい、藝術だけがたいそうなわけではなく、ほかの学問と変わらんと思う。 ギリシャ語の「τέχνη téchni(テクニー)」やその訳語としてのラテン語の「ars(アルス)」、英語の「art(アート)」、フランス語の「art(アール)」、ドイツ語の「Kunst(クンスト)[注釈 1]」などは、もともと単に「人工(のもの)」という意味の医術や土木工学などの広い分野を含む概念で、現在でいうところの「技術」にあたる。 芸術 - Wikipedia 技術とほぼ同義だったのが、なんだかやたら高尚な存在に仕立て上げられてる、ってのが正直なところじゃない…
先日、森美術館で開催されているchim↑pom展 HappySpringに行ってきた。彼らの独特さ、異様さ、そして面白さを再認識すると共に、なんでこれが芸術なんだっけ?という初歩的な疑問に回帰させられた。 大学で美学美術史を学んでいたが、卒業して早十数年…。どうしてchim↑pomは芸術足りえるのか?を学び直すため、私はある本を読むことにした。 『美学への招待』 佐々木健一著 この本は、美学とは何ぞや?の初歩の初歩の部分が分かりやすく解説されている入門書である。とはいえ、最低限の世界史、美術史の変遷を知っていることが前提で書かれている。この本に書かれていることを、自分なりにかみ砕き、更に更に簡…
著者はノンフィクション作家の佐々木健一さん。これまで辞書になった男(感想文14-62)とMr.トルネード 藤田哲也(感想文17-48)を大変面白く読ませていただいた。 佐々木は人物に焦点を当てて描くタイプの作家だが、その人選がユニークだし、脈絡がなくて幅広い。本書の主人公はタイトルにあるとおり「えん罪弁護士今村核」だ。 えん罪で思い出すのが映画「それでもボクはやってない」。この映画はどこで見たんだろうか。テレビで放映された時だっただろうか。はっきりとは覚えていないが、他人事ではないことに背筋が凍る思いをした。 幸運にもこれまで逮捕された経験はなく(逮捕されるような行為もしてない)、未だに民事事…
※2017年9月28日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 辞書になった男 ケンボー先生と山田先生(感想文14-62)以来の佐々木健一さんのご本。辞書になった男は非常に印象に強く残っている作品で、非常に面白かったのを覚えている。佐々木健一が書いた本ということで、期待して読んでみた。 本書の主人公は、藤田哲也(1920-1998)だ。恥ずかしながら、本書を読むまで藤田博士のことは全く存じ上げなかった。ウィキペディアには『ダウンバースト(下降噴流)とトルネード(竜巻)の研究における世界的権威として知られ、その優れた業績から Mr. Tornado(ミスター・トルネード)、Dr. Tornado(竜巻…
※2014年12月19日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 本書は辞書の物語である。って、辞書?辞書は無味乾燥で、淡々と言葉の意味を説明し、整理したものと思っているかもしれない。私も思っていた。辞書に個性は疎かたいした違いはないと。そうじゃないのだ。辞書も人間が作ったものであり、人間が作ったものである以上、そこには作り手の情熱や思いや信念が詰まっている。ドラマがあるのだ。 そのことを知っただけでも本書の価値はすごく高い。大変面白い。 これは、日本を代表する二冊の辞書の誕生と進化を巡る、二人の男の情熱と相克の物語である。 二人の男とは、タイトルにあるケンボー先生と山田先生のことだ。つまり、 『新…