誰彼も頭上に風ある五月かな (暗くて狭い林道を抜けると、突然富士山が現れる 佐野峠から) 山梨県の南部にある思親山(1031m)をE君と訪ねた。20年ほど前に登って以来、私にとっては3度目になる。 思親山という変わった名前は、日蓮聖人が身延山で修行中、この頂から両親を偲んだといわれることから来ているようだ。日蓮宗総本山の身延山久遠寺はここからさほど遠くない。 記憶をたどれば、この山は、富士山がきれいで、明るく樹々が美しく、樹下の花たちが豊富、という印象だった。それだけに楽しみにしていたのだが、その期待はあっさり裏切られた。 身延線の内船駅の脇から林道をたどり佐野峠(845m)までは経験のある径…