今月の大阪古書会館「たにまち月いち古書即売会」で、内田魯庵が「三文字屋金平述」の形式で書いた『文学者となる法』(宮澤俊三発行・右文社発売、明治27年4月)を発見。古本横丁の和本400円均一台に紛れていた。表紙が本来の表紙と異なっているので、「わっ、異装版か」と思ってしまった。しかし、貸本屋が付けた表紙だった。中に本来の表紙があり、エピグラフには「貸本安井」と印が押してあった。 他に押された印は、貸本用表紙の裏と貸本屋用裏表紙の前に押された「安井印」だけである。貸本仕様の本には通常、住所・店名や料金が記載された印が口絵を含めてやたら押されているものなので、本書のように簡単な印が3箇所だけというの…