佐久間庸和です。日本を代表する漢字学者であった白川静の代表作『孔子伝』(中公文庫)を紹介します。もう何度も読み返している、わたしの座右の書のひとつです。冒頭を、著者は「聖人孔子を語る人は多い。また『論語』の深遠な哲理を説く人も少なくはない。しかしもし、それがキリストを語り、聖書を説くように説かれるとすれば、それは孔子の志ではないように思う。孔子自身は、神秘主義者たることを欲しなかった人である。みずから光背を負うことを欲しなかった人である」と書きだしています。1972年に中公叢書の1冊として出版された『孔子伝』のこの一文は、日本における従来の孔子観を打ち砕くものであり、新しい孔子観が生まれること…