柳田國男の『獅子舞考』(『柳田國男全集18』,筑摩書房,1990年)は獅子舞の起源について考える上で、非常に重要な手がかりを示唆している。この論考は大正10年代(1920年代)に発表されたもので、言葉遣いが今とやや異なる。色々な意味で現在では語られざる貴重な記録を今に留めているように思う。以下、その内容に触れる。 雑賀貞次郎氏が報じた死屍分割の例(郷土研究3巻473頁) 柳田國男は南方熊楠とも交流が深かったと言われる郷土史研究者の雑賀貞次郎による、死屍分割についての記述に言及している。その内容は以下の通りである。 ・唐獅子の身体が3つに裂けたのを3国3処に分取した。 =源三位頼政が射殺した怪獣…