余裕という言葉を考える余裕がなかった期間があった。 ある年齢に差し掛かり気が付くと時間的にも精神的にもそして経済的にも目一杯になっていて毎日が皿回しで皿が落ちないように冷や冷やしながらやり過ごす。 今思うとあの時どうやって毎日の綱渡りを過ごしていたのだろうと不思議に思う。 確かに余裕があれば視野が広くなり気づきも多くなるし、他者への思いやりも時間を使うことができる。 あの頃は仏頂面の表情がノーマルで他者には申し訳程度の笑顔を絞り出すのがせいぜいであった。 ショウウィンドウや電車の窓に時折映る自分の顔と目があうと気持ちが益々萎えていた。 ブスとか美人とかいう前にこんな渋顔を何とかしないと誰も手を…