「ここに一人の子供がいる。」 さて、この文章は正しいでしょうか? もちろん、日本語の文法としては合っているはずです。 そのほかにも、「子供が走っている」「子供の声が聞こえる」といった具合に、たった一人の子どもに対して、違和感なく「子供」という語を当てています。 しかしちょっと立ち止まって考えてみると、この言葉──『子供』という単語には奇妙な構造が隠れているようにも感じます。 「子供」はもともと複数だった? 「子供」という語は「子」と「供」の二文字から成り立っています。 「子」は未成年の人間という存在、つまりある基準以下の幼い人間という集合をつくる単位要素を指しています。 一方、「供」は「お供」…