『『こころ』大人になれなかった先生』石原千秋(みすず書房2005年)『夏目漱石『こころ』をどう読むか』石原千秋 責任編集(河出書房新社2014年)■ 塩尻市立図書館の漱石作品を論じた本が並ぶ棚からこの2冊を借りて読んだ。『こころ』っていろんな読み方ができるんだな、と改めて思った。『こころ』の魅力は多様な解釈ができることだ。例えば、なぜ先生はKを自分の下宿に誘い入れたのかという問い。このことについては、Kが養家からも実家からも縁を切られて経済的に困窮していたから援助してやりたかった、という分かりやすい解釈がある。他にも次のような解釈がある。**Kに御嬢さんを見せ、御嬢さんを評価させたい、というこ…