1955年生まれ。 成城大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程中退。 東横学園女子短期大学助教授、成城大学文藝学部教授を経て、現在早稲田大学教育学部教授。 専攻は日本近代文学。 現代思想を武器に文学テクストを分析、時代状況ともリンクさせた斬新な読みを提出する。 また、一人息子の中学受験を機に、国語教育、とくに入試の「国語」についても問題提起を開始する。
結論:語り手、直接言わない、文法に注目 教育力 - 岩波書店 p81別の言い方・他の作家・英訳との比較。文体の特徴。表現の効果などを考えさせる、などの発問をしては、と提案。 羅生門を例に諸書から抜粋しておきます。 なお、本記事は 文学の授業で論理的に解釈を構築する―「羅生門」(高1)実践報告― 3時で語り手について学習、5,6時で探究マップを利用し、羅生門論を書く という授業の補足的な話です。 本文は青空文庫の 芥川龍之介 羅生門 より引用。 〇語り手の問題 「作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。ふだんなら、勿論、主人…
国語教育 書くこと3 つけるべき文章力とは - sazaesansazaesan’s diary で社会人向けの作文指南記事を見て暫定的結論をまとめた。 そこでは、以下のことができたらいいとした。 ・構成と主張を意識して計画的に書く。 ・読み手を意識し、読み手に伝えるべきことを明確にする。 ・簡潔な文章を書く。 ・執筆に十分な語彙、文法(特に接続詞)の知識をもつ。 ・十分な量の手本となる文章に接し、意識的にその文章を読んでいる。 (簡潔、接続詞の知識については、 国語教育 文法学習は書くことの指導に役立つ - sazaesansazaesan’s diary 国語教育 高校入試向けの国語基礎 …
文学的文章の指導では、主題をつかむことが大事だとよく言われます。 しかし、書き手の小説家自身、主題を答えるのは難しいこともあります。 原典不明の逸話ですが、 村上龍は、小説で描きたかったことを一言で言って、という質問に困ったそう。 (一応の出典として なーんだ、そんなことだったのか!『寝ながら学べる構造主義』内田樹 | 文春新書 P128(第4章のロラン・バルトの「作者の死」に関する解説にて) や 映像化作品か原作か? | 柏木塾 にあります。) ⇒作者さえも作品の主題を考えるのは難しい。 ところで、 石原千秋氏はしばしば 「受験で出る小説は道徳的な解釈が正解になる」 と主張しておられる。 『…
評論文の背景 石原千秋氏による読書案内 - sazaesansazaesan’s diary で紹介した 『異文化としての子ども』本田 和子 | 筑摩書房 について。 ちくまの教科書 > 国語通信 > 連載 > 授業実践例 の評論で、同書の授業実践例あり。 吉田 直哉 (Naoya Yoshida) - マイポータル - researchmap の 本田和子による〈子ども〉というコスモロジー | 学術機関リポジトリデータベース や 〈子ども〉というコスモロジー | 296.jp ふくろう出版 も参考。 以上です。
『大学受験のための小説講義』石原 千秋 | 筑摩書房 P164では、以下の5法則が成り立つことが多いと述べています。 1 気持ちを問う設問では、道徳的に正しいことが正解 2 道徳的に健全な物語が出題、それに否定的な表現の選択肢はダミー 3 その結果正解は曖昧記述が多い 4 気持ちを問う設問 傍線部前後の状況についての情報処理 5 正解は似ている選択肢のどちらか (1~5いずれも「であることが多い」という表現になっていることに注意) 法則3の理由 p138 選択肢は本文の暴力的な書き換え →明快な断言は本文とずれる →曖昧に書いてずれをなくす (49現実らしい表現を抽象表現に「翻訳」→得たイメー…
国語教材の『こころ』は 石原 千秋 (Chiaki Ishihara) - マイポータル - researchmapが有名。 石原氏編の『夏目漱石『こころ』をどう読むか』 https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB15643989 という『こころ』論のまとめあり。 日本文学研究法|書籍一覧|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」 の21章 テクスト論では、小森陽一氏の「「心」における反転する<手記>」(『成城国文学』1号、1985年3月)への疑問を示す。 江藤淳の保守主義者への思想変容過程の考察 | 学術機関リポジトリデータベース にあるように、江藤淳の夏目漱石研究も重要…
柄谷行人『探究Ⅱ』(講談社学術文庫) 柄谷行人『探究Ⅱ』における「いじめ」論 石原千秋『教養としての現代文学』における指摘 柄谷行人『探究Ⅱ』のいじめ論としての読み換え 柄谷行人『探究Ⅱ』における「いじめ」論 柄谷行人と言えば、日本を代表する文芸評論家のち、思想家であるが、その著『探究Ⅱ』(講談社)には、いじめ論として読める部分がある。 これを指摘したのは、国文学者の石原千秋(早稲田大学大学院教授)である。 石原千秋『教養としての現代文学』における指摘 石原千秋は、『教養として読む現代文学』(朝日新聞出版、2013年)所収の第4章「『僕ら』とは誰か:大江健三郎『芽むしり仔撃ち』」において、『探…
夏目漱石の『こころ』といえば男女の三角関係を描いた名作小説だ。高校の国語の授業で扱われるので、読んだことがある人が大半なのではないかと思う。 夏目漱石『こころ』だが、その解釈を巡って「こころ」論争と呼ばれる文学論争があったのはご存知だろうか?夏目漱石『こころ』の解釈をめぐって論争が起こったのである。1980年代の出来事である。 『こころ』論争とは、小森陽一や石原千秋らのテクスト論派と、三好行雄といった作品論派の間に起きた夏目漱石『こころ』の解釈をめぐる論争である。テクスト論を活用した現代文学理論派と、作品論が中心の守旧派との対立だ。テクスト論派が、「私」は先生の死後にお嬢さんと共に生きている…
村上春樹作品といえば謎に満ちたストーリーが特徴だろう。 村上春樹作品を読んでみたが、謎が多いために内容がよく分からないという人は多いのではないだろうか。また、村上春樹作品を色んな視点から読み解きたい、もっと深く読み解きたいという人も多いと思う。 そんな時に役に立つのが、研究者や文芸評論家が書いた研究本や解説本だ。数多くある村上春樹についての解説本・評論本・研究書の中でおすすめのものを紹介したい。
漱石関連文献 林原耕三『漱石山房の人々』(講談社文芸文庫,2022.02)の復刊 漱石山房の人々 (講談社文芸文庫) 作者:林原 耕三 講談社 Amazon 森まゆみが永井荷風『鴎外先生』(中公文庫,2019)の「解説 鴎外と荷風」のなかで記している。 残念なことだが、亡くなってのちも読みつがれる作家はきわめて少ない。有名な賞の作家でも次の受賞者が出てくると古い方から消えていく。そういうことを繰り返し見ているうちに、あることに気づいた。それは亡くなった時に後輩が騒がなければいけないということだ。大正11年七月九日森鴎外が亡くなった時に、永井荷風は見事にその役を務めた。(308頁『鴎外先生』) …