訓読 >>> 霰(あられ)降り鹿島(かしま)の神を祈りつつ皇御軍(すめらみくさ)に我れは来(き)にしを 要旨 >>> 武神であられる鹿島の神に祈りを捧げながら、天皇の兵士として私はやってきたものを。 鑑賞 >>> 常陸国の防人、上丁、大舎人部千文(おおとねりべのちふみ)の歌。「霰降り」は、あられが降って喧(かしま)しいことから、同音の「鹿島」に続く枕詞。「鹿島の神」は、古来、武神として崇められた鹿島神宮。この祭祀をつかさどっていた中臣氏が中央で勢力を得て藤原氏となって以来、藤原氏の氏神となりました。「皇御軍」は、皇軍の兵士。作者は常陸の国府を出立し、その道すがら長久を祈願したのでしょうか。この…