つれあひを亡くしし雄のシロフクロウわが口笛にふり向きにけり ひさびさに身内親戚集まれば育毛剤も話題にのぼる 冬隣 八首 赤い羽根共同募金のコンコース女子高生にわが胸の寄る あたたかき日差好めるエゴ、サクラ、コナラ、クヌギは陽樹なりけり 日の弱き森にも生うるクス、アオキ、シイ、ブナ、カシは陰樹なりけり 涌く水の谷戸の草地に色あはくつり舟草の咲きのこりたる 枝打の終りし杉の木立には日の斑やどりてヒヨドリの声 蜘蛛の囲にかかりて終へし虫の生そのなきがらが朝の陽に揺る 秋ふかみ鉄路に沿へるゑのころは風にふかれて赤さびにけり 葉の落ちて実のあらはなる柿の木に大き目玉の風船が垂る 山道に寝そべる蛇は知らぬ…