湯本香樹実の小説作品
あまりにも美しく、哀しくつよい傑作長篇小説 なにものも分かつことのできない愛がある。時も、死さえも――ミリオンセラー『夏の庭』、名作絵本『くまとやまねこ』の著者が描く珠玉の物語
きみが三年の間どうしていたか、話してくれないか―長い間失踪していた夫・優介がある夜ふいに帰ってくる。ただしその身は遠い水底で蟹に喰われたという。彼岸と此岸をたゆたいながら、瑞希は優介とともに死後の軌跡をさかのぼる旅に出る。永久に失われたものへの愛のつよさに心震える、魂の再生の物語。
岸辺の旅
岸辺の旅 (文春文庫)
湯本香樹実による同名小説を黒沢清監督が映画化。
いまさらですが 『おくりびと』 映画『おくりびと』(2008)予告編 www.youtube.com もうテレビで何度もやった国民的映画。 元ネタ本『納棺夫日記』は大昔読んだが、映画とはだいぶ違う印象だったとおもう(具体的内容はすっかり忘れたが) 国内外で多くの賞をとっただけあって、 映画自体はよくまとまっていて良い出来だ。 おくりびと - Okuribito - Departures (2008) www.youtube.com しかし、この「物語」に感動する社会には、根本的にとんでもないインチキが潜んでるとおもう。 「人は死んでも生きている」妄想は、人が死ぬたびに葬儀場で必ず確認しあうみん…
邦画の秀作「岸辺の旅」は、失踪中に死んだ夫が妻のもとに帰ってきて「俺死んだんだ」と言い、夫の思い出の場所巡りを二人でする話です。 ウィキペディア『岸辺の旅』あらすじから引用させていただきます。 夫である優介が失踪してのち、瑞希はピアノ教師をわずかに続けることで世間との接触を保っていた。そんな彼女の前に、ある日突然に優介が現われる。口調も態度も往時と変わらない彼に、すでに死んだ身だと説明され混乱する瑞希だが、思い出の地をめぐる旅に出ようと持ち掛けられ、そのことばに従う。 電車に乗って辿り着いた街で、ふたりは新聞配達業に携わる老人・島影の店を訪ねる。過去に彼の下で働いていた優介とは話も弾み、家事の…
以前紹介した「岸辺の旅」が今 ↓GYAO!で無料視聴できます。8月4日(木)まで↓ 岸辺の旅 失踪中に死んだ夫が妻のもとに帰ってきて「俺死んだんだ」と言い、夫の思い出の場所巡りを二人でする話。 GYAO!タイトル情報より引用させていただきます。 いかないで。きえないで。このままずっと、そばにいて。 3年間失踪していた夫が突然帰ってきた。だが、夫は「俺、死んだよ」と妻に告げる。そして、夫が過ごした時間をめぐる、夫婦ふたりの旅がはじまった。夫の優介(浅野忠信)がこれまでにお世話になった人々を訪ねて歩くふたり。旅を続けるうちに、妻の瑞希(深津絵里)と優介はそれまで知らずにいた秘密にも触れることになる…
以前紹介した「岸辺の旅」が今 ↓GYAO!で無料視聴できます。2月19日(土)まで↓ 岸辺の旅 失踪中に死んだ夫が妻のもとに帰ってきて「俺死んだんだ」と言い、夫の思い出の場所巡りを二人でする話。 GYAO!タイトル情報より引用させていただきます。 いかないで。きえないで。このままずっと、そばにいて。 3年間失踪していた夫が突然帰ってきた。だが、夫は「俺、死んだよ」と妻に告げる。そして、夫が過ごした時間をめぐる、夫婦ふたりの旅がはじまった。夫の優介(浅野忠信)がこれまでにお世話になった人々を訪ねて歩くふたり。旅を続けるうちに、妻の瑞希(深津絵里)と優介はそれまで知らずにいた秘密にも触れることにな…
続けて観たこともあってその差異と共通点を感じたのが韓国映画『はちどり』です。 若いキム・ボラ監督第一作のシンプルな構成と比較すると本作は非常に技巧的な熟練を感じさせます。 『岸辺の旅』はタイトルからしても年を経て生きていく悲しさがあり『はちどり』は浮遊するために激しく羽ばたく力強さと軽やかさをイメージさせます。 ふたつの作品のネタバレしますのでご注意を。 『岸辺の旅』と『はちどり』が不思議に似通う点があり時間を経た一つの作品のようにも思えてしまうのです。 類似を感じるのは両作品のヒロインが物静かで内向的であるのに時に爆発してしまうからでしょうか。 昨日も書いたことですが両作品が「手と指」を重要…
録画したものを寝かせたままになっていてからの鑑賞でした。予備知識がなかったのですがこれも私的には『SonnyBoy』関連映画と言えそうです。 そのつもりではなかったのに求めていると呼び寄せてしまうことが多々ありますね。 ネタバレしますのでご注意を。 思えば現実世界と別の世界を行き来する物語にとても惹かれているからなのでしょう。 「死んでしまうとPCの電源が落ちた時の様にプツリと終ってしまうものなのだろう」と私は思いながらもどこかで「しかしもしかしたら魂は別の世界へ移動するだけで時として今の世界に入り込んでみたりするのかもしれない」という考えを捨てきれずにいます。 もちろんその考えを持っている人…
【過去の原作つき作品 (2)】 黒沢「(『楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家』〈2005〉)粛々と取り組んだんですけど(原作に)絵があると難しい。キャスティングは絵の通りにいかないですが、蜘蛛の巣など美術はマンガに似せてつくるけど、マンガ通りではない。愛好者から見るとまがいものかな。
仏題:Le chemin du serpent 監督&脚本:黒沢清 原案:黒沢清『蛇の道』(1998) 製作:小寺剛雄 製作会社:CINÉFRANCE STUDIOS 音楽:ニコラ・エレラ 撮影:アレクシ・カビルシーヌ 編集:トマ・マルシャン 製作会社:CINÉFRANCE STUDIOS 制作&配給会社:KADOKAWA 製作国:フランス、日本、ベルギー、ルクセンブルク 上映時間:113分 公開日:2024.06/14 黒沢清監督自身による『蛇の道』(1998)のセルフリメイク。うろ覚えだけど、フランスに出資してもらってセルフリメイクするなら?と選ばせてもらってこれを選んだ……と言ってた気が…
この作品は、第97回アカデミー賞の国際長編映画賞の日本代表作品に選出されているという。1回観た感じで、この作品ならアメリカでの受けはいいんじゃないかと思った。どうも国内の観客の評価は(想像した通り)イマイチのようだが、アカデミー賞受賞の可能性もないではない。 ヨーロッパ、とりわけ黒沢監督の人気の高いフランスなんかと、アメリカとではその作品の好みも異なるのではないかと思っていたが、先日アメリカの映画批評サイト「Rotten Tomatoes」での黒沢監督作品の評価が、高評価順にリストされていたのを目にした。以下の通りである。 94%高評価『CURE』(97) 94%高評価『トウキョウソナタ』(0…
TOKYO FM/JFN38局ネット最新映画『Cloud クラウド』公開目前!黒沢清監督と“ジャパニーズホラー”を語る [Alexandros]川上洋平『おと、をかし』 TOKYO FMをはじめJFN38局ネットで放送中の、[Alexandros]川上洋平がパーソナリティをつとめる番組『おと、をかし』(毎週土曜日15:00~15:25)では、9月21日(土)と28日(土)の放送回で、映画監督の黒沢清を迎えます。 かねてより黒沢監督の映画のファンだったとういう[Alexandros]川上洋平が、9月27日に公開される映画『Cloud クラウド』のインスパイアソング「Boy Fearless」を書…
『CURE キュア』(1997)、『回路』(2001)、『ドッペルゲンガー』(2003)などオリジナルの作品を送り出しJホラーに多大な貢献を果たして来た黒沢清監督。 映画『Chime』は、料理教室の講師として働く男に起こる超然とした恐怖を描き、観る者を悪夢の世界へ引きずり込む42分の作品だ。 youtu.be 料理教室の講師、松岡を吉岡睦雄が演じ、松岡の妻を田畑智子、刑事役を渡辺いっけいが演じている。 映画『Chime』はDVT(デジタル・ビデオ・トレーディング)プラットフォーム・Roadsteadオリジナル作品第1弾として製作・限定販売され、その後、2024年8月2日より全国順次公開中。 第…
監督&脚本:黒沢清 製作国:日本 上映時間:45分 製作:Roadstead 企画&配給:Sunborn 公開日:2024/08/02 新しい日本の謎のメディア配信プラットフォーム〈Roadstead〉のオリジナル作品第一弾として撮られた短編映画で、黒沢清ファンの間で「黒沢清の、どうやったら観れるかわからん新作」と言われてたやつ。「まぁ、そのうち劇場で短期間公開されたりソフト化されたりRoadsteadが潰れて他のサブスクとかに売られるだろ」と思ってたら案の定、劇場公開された。上映時間が短い(45分)せいか鑑賞料金は1,500円と安めだった。「短編かぁ」と思ったが次にいつ観れるかわからんので観…
監督&脚本:黒沢清 音楽:吉田光 製作&配給:大映 日本:83分 初公開日:1998/04/11 旧題:修羅の狼 〜蜘蛛の瞳〜 英題:Eyes of Spider シリーズ:新島直巳の復讐シリーズ第二作目 先月辺りから90年代黒沢清を観返してる僕。新たな発見があったり逆に「今見たらこれパッとしないな」という事もあり。今のところ新たな発見のほうが多い。これは現在劇場公開中の『蛇の道』(2024)のオリジナルである『蛇の道』(1998)の一応続編。一応というのは『蛇の道』(1998)の脚本を高橋洋が書き上げるのが、黒沢清が本作の脚本書くより遅かったせいか、繋がってるような……繋がってないような………
黒沢清好きな人が指す黒沢清作品は、大体「『CURE』(1997)以降」になりがちで僕も割とそうだった、あとは幽霊が出たり殺伐としてたりとか、そういったノリを黒沢清に求めてるので明るいコメディの哀川翔主演Vシネのこれは「これはいつか機会があった時でいいか……」と思ってるうちに20数年経った、このままでは死亡してしまうし最近90年代黒沢清をまとめて観てたら「黒沢清作品の哀川翔いいなぁ」と思ってたので今が観る機会だと思い某サブスクに揃ってたので先月末から少しづつ観た。 ネタバレあり。 街の便利屋をしているチンピラ二人組、仁義に厚い兄貴分・藤田雄次(演:哀川翔)と純情な弟分・吉行耕作(演:前田耕陽)。…
監督:黒沢清 脚本:高橋洋 音楽:吉田光 製作&配給:大映 製作国:日本 上映時間:85分 公開日:1998/02/21 旧題:修羅の極道 ~蛇の道~ 英題:Serpent's Path シリーズ:新島直巳の復讐シリーズ第一作目 黒沢清監督本人による本作のセルフリメイク『蛇の道』(2024)が今公開中で、観に行く前にこの古いバージョンとか……ついでに90年代黒沢作品を観返してみようと思ったらハマってきたので今も好きみたい。黒沢清はやっぱ90年代後半から『叫』(2006)くらいまでが信者に近いファン状態で、その後純粋なホラーじゃなくて普通のドラマとホラーを混ぜたりするへんてこりんな映画を撮るよう…
監督&脚本:黒沢清 音楽:吉田光 製作国:日本 上映時間:80分 初公開日:1997/05/31 シリーズ:『復讐』シリーズ第2作目 黒沢清監督のリメイク版『蛇の道』(2024)まだ観に行ってないけど、10年ぶりくらいに90年代黒沢作品を観てたらハマってきて色々観返してる。自分が好きだ!と思ってたものでも10年経ったら価値観が変わったりするので見返したりすると、より好きになったり逆に「何でこんなの好きだったんだろ?」と好きじゃなくなったりする。脳の天日干し的な動き。昔のもの観て懐かしんだりする心の動きは大嫌いなのでそういう意味合いはない。たとえば以前はあまり面白くないと思っていた『地獄の警備員…
監督&脚本:黒沢清 脚本:富岡邦彦 撮影:根岸憲一 編集:神谷信武 音楽:岸野雄一 製作会社:ディレクターズ・カンパニー、日映エージェンシー 製作国:日本 上映時間:97分 公開:1992年6月13日 現在、黒沢清の『蛇の道』(2024)セルフリメイクが公開中で、観たいなぁと思いつつコメットさんとか宇宙の法則を教える塾などの面白描写がごっそりカットされてると聞いたら「じゃ辛いだけで楽しいところないやん」と感じて二の足踏み中……とりあえず黒沢清に最もハマってたのって20年くらい前だから、色々観返してみようかな……と、清だけじゃなくてアラサーの頃に「よし自分はこれが好きだからこれらを軸に色々観たり…
一条真也です。東京に来ています。各種出版関係の打ち合わせの後、夜は角川シネマ有楽町で日本映画「蛇の道」を観ました。ものすごく期待していた作品なのですが、観終わって、ものすごくガッカリしました。正直、つまらなかったです! ヤフーの「解説」には、こう書かれています。「1998年に公開された同名映画を、黒沢清監督自らリメイクした復讐劇。幼い娘の命を何者かに奪われた父親が、謎の精神科医の力を借りてリベンジを果たそうとする。俳優、歌手、実業家として活動する『青天の霹靂』などの柴咲コウが出演するほか、『レ・ミゼラブル』などのダミアン・ボナールらがキャストに名を連ねる」 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りで…
蛇の道 蛇の道 作品情報 あらすじ 感想 オリジナルとほぼ一緒 杜撰な拉致は改変しないんかい。 最後に
どういう映画が好きな人が書いている記事なのか、気になる人へ。 『エイリアン』(1979)リドリー・スコット フィルム・ノワール風でジャンルレスな魅力。それでいて風格は大作然としている。 このエイリアンは怪物ではない。 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)ロバート・ゼメキス 大学生の時にテレビでやっているのを見て、分かっていたはずの面白さに衝撃を受けて、そこからまたアメリカ映画を真剣に見はじめた。 『岸辺の旅』(2015)黒沢清 後述するカーペンターの『光る眼』(1995)と同じく、この作品があるとないとでは、後年の黒沢清の評価が変わってくるのではないかと思っている。 『ハドソン川の奇…
映画「蛇の道」の上映会に出席した柴咲コウ 女優・柴咲コウ(42)が5日、東京・日本外国特派員協会で行われた映画「蛇の道」(14日公開)の上映会イベントに、黒沢清監督と登場した。 会見に登場した柴咲は英語で「お招きいただきありがとうございます」とあいさつ。オールフランスロケの作品で「是非、フランス語で自己紹介をと思っていたが、現時点でフランス語はできませんので…」と続けた。柴咲の流ちょうな英語に、黒澤監督は「こんなに英語がうまいと思わなかった」と驚きながら、「私は日本語で失礼します」と話し、作品への思いを語った。 同作は98年に劇場公開された同タイトルの作品を、フランスを舞台にセルフリメークした…