干し柿を作っている。高原の我が家は区画整理がされた都会の街とは異なり番地ごとの境界線があいまいだ。もちろん境界石を辿り測量を行えば境界ははっきりしてくる。が、判明させたところでそこにフェンスやブロック塀を作るわけもないのだからすぐに明瞭さを失ってしまう。 そんな境界線にこれまた所属不明の木が生えている。背後は沢に向けて広葉樹林が広がっているのだから誰も手入れに入らない。草木は好き放題に成長している。そんな木々のうち数本は空に橙色の実をつける。柿の実だった。気になっていたがいずれ庭に落ちてやがて腐ってしまう。渋柿だろう。折角の柿なのだからどうせ落ちるのならもいでしまおう、そもそも想定される境界線…