ゾラン・ジヴコヴィチ『ドナウ川五つの驚異』盛林堂ミステリアス文庫を読了。 「ゾラン・ジヴコヴィチ・ファンタスチカ」と銘打たれたシリーズの第4弾。『図書館』『本を読む女』『フォードル・ミハイロヴィチの四つの死と一つの復活』と、いままでは本や小説にかかわる作品が訳されていたが、今回はいささかおもむきが異なる。ドナウ川にかかる五つの橋、それぞれ異なる国にかかる五つの橋を舞台にした、幻想的な小説を収録した短篇集なのだ。とはいえ、いわゆる奇想小説ともいうべきテイストに変わりはなく、この手の小説が好きな人には遠慮なくお勧めしたい。 収録された5篇のうち、橋の上部に発見された大きな絵を巡るコミカルなやりとり…