Blue あなたとわたしの本 274 カフェ・マジックアワー (後編・完結) 智(とも) やがて青年は最上階に着いたようだった。階段がとぎれていた。上へと向かう手段はもうどこにもない。がらんどうの、船の甲板(かんぱん)を連想させる、赤みがかったデッキに立っていた。建物の白い壁面が右手につづいている。窓のひとつもない。だが、のっぺりとしたその壁に、みどり色に塗られた扉が嵌めこまれている。このドアから店内へ入れるのだろうか。たぶんそうなのだろう。そうとしか解釈のしようがない。木製の重厚な扉だった。なかほどから下には、地図のようにも見える細工がほどこされている。近くまで寄ると、それは精巧なものである…