愛らしい未来 作者:高原 英理 河出書房新社 Amazon 『愛らしい未来』高原英理著を読む。 ふだん、作家がぜーんぶ、説明してくれる小説を読み慣れている人には違和感を感じるだろう。ただし、テキストをゆっくり読み解いていく人にのみ、霧が晴れるように、内包しているものを露わにしてくれる。この作品の魅力を伝えるのはムズイんだけど、以下、短く。 『愛らしい未来』 「わたし」は脳腫瘍と診断され、脳外科手術を受けた。それからだ、可愛らしいものに敏感に反応するようになった。「音を聴くと色や形が見えたり」するのを「共感覚」というが、そのようなものなのだろうか。見えるもの、聴こえるものなど「可愛い」ものとそう…