その頃、建築設計を志して20年が過ぎていた。大学で建築を学び、卒業後に大学の副手として設計を教え、その後プロの設計者として社会の荒波にもまれ、独立開業しバブル崩壊の嵐の中に飛び込む。 そもそも設計者として出だしの大学での最初の設計課題「レタリング」評価で「君は現場に行った方が良い」と言われたことから始まる、決して建築家への道程は平たんではなく、険しい道だった。設計者にとって文字の汚さは致命的だ。思えば・・如何にしてそれをカバーするか暗中模索の日々だった。その結果、納得のいかないものは書き直し、クライアントには絶対なる自信の設計図提出を心がける。少しでもためらいのあるものは外には出さない。その繰…