建築&芸術学部

独立後は建築に無我夢中だったが、彼の30代を語るにはJC活動を欠くことは出来ない。 32歳でJCに入会し40歳まで9年所属した。途中退会しない限り40歳になると自動的に現役会員は卒業というシステムで、その後OB会員となる。活動は手弁当のボランティア、目的は地域社会活動と異業種交流にある。メンバーは各種委員会に配属され、それは年度ごとに変わった。建築設計が家業の彼は主に街づくり関係の委員会に所属した。 JC活動は刺激的で次第に熱中し様々な面で彼に影響を与えた。そして家族も振り回されることになる。以前飲み会の話をしたが決して飲んでばかりではない。例えば・・それまで家族で祭りを見に行ったが、入会する…

１９９８年福島ＪＣニュース掲載 思えばとんでもないことをしたものだ・・・今年、福島青年会議所は35周年を迎えますが、5年前～Sｔｉｌｌ ｙｏｕｎｇ ａt 30th～(30年たってもまだ若い)のもと、30周年行事を行いました。それから４年後、この言葉が私を冒険へと導くことになった。 昨年夏、３９歳になった日、娘からつがれたワインを片手に月日の流れの速さを改めて感じました。丁度その頃、日本人が歩いて北極横断というニュ－スが流れ、酔いも重なり自分も「３９歳になってもまだやれるんじゃないか」と思ってしまいました。一晩かけて「東北一周をバイクで制覇」を決意。しかし問題があります。私は原付自転車（５０ｃｃ…

阿武隈川が縦断する信達平野の真ん中に信夫山がひょっこりそびえる。周辺より200ｍ程高い山だ。家はその麓に建ち、JR福島駅から歩いて20分で、街中での飲み会は雨・雪でない限りほとんど歩いて帰る。駅から直進し1ヶ所曲がり正面信夫山に向かうと我家がある。 30代時代彼は毎日のように宴会があった。ある夜、「毎日24：00を過ぎるのもどうか」と思いドーナッツを片手に21時前に帰路に就く。夕立が止んだばかりで信夫山に雲が低く垂れこめていた。 彼は雨上がりが好きでしかもほろ酔いだ。お土産に喜ぶ子供たちを思い鼻歌混じりで信夫山に向かえば、雲の間に何かが光る。「あれは何だ！」と思い歩きながら注視し続けると、光は…

自宅雑誌併催写真に当時主にツレが乗っていた車アウトビアンキ・アバルトが写っている。大好きだったが写真が残ってなく、家族にとって貴重な思い出の1枚だ。その車はJC（青年会議所）の先輩から購入。思えばアバルト購入の切っ掛けはとある宴会だった。 車好きたちが「アバルトはサソリマークのツインカム。ただのアウトビアンキじゃない」「可愛くてシルバーと黒がかっこいい！よなー」「イタリア車は雨が漏るんだ。イタリアは雨が少ないから、、、ぎゃははー！」「あのアバルトは絶対に買いだよ」「おまけに左ハンドルだし」などと話が盛り上がる。その頃の彼はイタリアへ研修旅行に行ったばかりで興奮が冷めやらぬイタリアかぶれ。近くで…

アトリエ併用自宅建築工事の現場監督を7カ月間やったが、見積・工事準備期間も含めると10カ月間かかった。その間はアクシデントの連続、特に大変だったのは工事監督業務に追われ、通常設計業務に影響が出たことだろう。通常業務の合間に監督業務兼務して・・と思ったが、この建築はそんなに甘くなかった。彼は現場監督経験が1度しかなく経験不足であり、施主・設計者・工事施工者のすべてを一人で兼ねるというストレスもあった。建築は決断の連続。その決断の時、邪念が入り客観的な判断を鈍らせ余計な時間がかかることもあった。幸いなことに当時急ぎのプロジェクはなく、設計の遅れなどでクライアントに迷惑をかけることは無かった。しかし…

我家設計図書が完成し確認申請許可もおりる。そのアトリエ併用住宅は「30度直角三角形90㎡の土地」に、鉄筋コンクリート(RC)造3階建て一部木造と外壁レンガブロック積みという挑戦的な建築となり、工事難度のハードルも上がる。設計段階でどんな納まりにすべきか良く分からない部分もあった。見積段階でも工事の難しさが際立ち悪戦苦闘、木造の現場監督経験1回だけの身では荷が重すぎると思った。彼は設計のプロだが現場監督の経験はないに等しい。「だからやるんだ！」と思っていたがこの設計では・・・。 もともとRC造建築の施工は難しい。コンクリートは固いので一度作ってしまうと修正が難しく、間違いやダメ工事を是正するのに…

先輩設計者が「設計図は現場に携わる人みんなが見て、まとまるところが良いんだ」「図面を基に職人さんや技術者が協力する」という話をしていたことを思い出す。言ってみれば建築関係者だけでなく、施主・設計者・役所関係者・融資関係者・工事監督・建築関連業者・材料屋・登記関係者等々何十人何百人それ以上の人が図面を見て、それぞれの仕事をして、協力しながら建物が出来上がって行く。それは設計の仕事の醍醐味であり恐ろしさでもある。変なものを描けば関係者の努力を踏みにじることになるからだ。だからこそ下手なものは描けず真剣勝負になる。そして建築の醍醐味の一つはみんなで協力して建物を造り上げるところであろう。 彼の左眉に…