誤魔化していても、それはやって決ます。見ない様にしていても、それはやって来ます。自分の人生の総決算。それが誰にも知られずに、音も無く近付いて来て、いきなりあなたの顔を直視します。それこそ借金取りの様な厳しさで見詰めます。そして言います。「もう、自分で分かっているな。お前の思っている通りだ」そう、人生の総決算の言う事はいつもこれです。その堪え難い借金取りが来る前から、総決算の内容は既に自分が知っているのです。だからこそ誤魔化しまた見まいと努めてきたのです。しかし、その努力は終(つい)に虚しい。後は、まあ、運が良ければベッドの上で、死ぬまで独り呻(うめ)き続けるという事ですか。『斯(こ)んな筈では…