正徳3年閏5月24日。膳所の城主本多壱岐守が熱田に泊まった。茶道坊に足軽風の者が1人ついて来た。茶坊主は医者とも。小さな家で召仕がいないので主人から人をつけて供をさせた。この足軽はぞんざいで無礼であったが、坊主は怒りながらも堪えていた。この日の宮泊まりの伝馬町庄右衛門のところではさらに無礼であった。坊主が怒って自分の召仕であれば切ってやるのと言った。足軽は人ほど切りやすいものはないのにどうして切らないのだと悪態をついて笑った。坊主は堪えかねて小脇指を抜き、一刺しして突き倒したのを同じ宿の者やそのほかの者が集まって引き分け、主人に訴えた。主人が言うには坊主に理がある。以前この坊主の召仕分にすると…