正徳6年2月7日。三の丸天王裏の大榎が北から少し東よりに倒れて堀を崩し、道路を塞ぐ。この榎は天王社で一番の古木であり、根は少々腐っていた。地上1、2尺(1尺は約30センチ)だけ残り、折れてしまった。巳の刻(午前9時)頃のことであった。その時、大した風は吹いていなかった。鈴木安太から御屋敷奉行へ報告し、折れ榎を伐った。但馬様(松平友著)はやりくりが厳しい上に、この度合力(金銭の援助)も減り、かなりひっ迫し、体調がすぐれないことにしてこの1日から公儀などの勤めを控えていた。身分の低い御家人には暇を出した。中間50人ばかりにも暇を出し、火廻りもたった2人になった。夜の拍子木も屋敷では打たず、灯も灯す…