正徳5年2月25日。飛騨守屋敷へ御悔のため安田元右衛門が江戸からやって来る。巾下浄土宗宝周寺へ増上寺一文字の能化(長老)随哲和尚がやって来て談義を行う。これは先住の弟子であったためである。先住の隠居は正月の初めから食事を摂らず、近頃絶食する。年は80で信心深い人物であった。もう死期が近いと、毎日行水(身を清めること)見廻の人々にも浮世の塵など語るな、仏法のことで1日1晩でもくたびれない、あるいは三皈五戒(三宝に帰依し、五つのことを禁じる戒め)十念(南無阿弥陀仏を十回唱える)などを授け、1日に3度ずつ寺中を集めて大念仏を行うと云々。この日は法然の忌日なので死ぬであろうと朝から念仏をし、夜になると…