四月二十八日、在長崎の本藩士、荘村助右衛門は、天草動揺に関する事情を在国の坂本彦兵衛に報す 〔慶応二丙寅年尊攘録探索書〕慶応二、四月二十八日、長崎発の荘村の来信、五月三日着天草の事 密啓 この度、天草島中に少々動揺のきざし、これがあります様子はそれぞれ御聴きに達します通りで、万一浮浪の輩がその間に遊説いたし、島中の人心を煽動致しますような成り行きを、申すことがよいのかも推測し難い。またはその大元の薩長などが闊歩致します筋では、あるまじきかこの事柄をできるだけ探索いたしますよう内々で諭してございますので、この一件を坂本良馬に面会致しますならば、浮浪の輩の暴動は事情が明了にわかりますはずかと見込み…