こんにちは、兎田よもぎです。 どこでもないけれど、どこかにありそうな世界を旅するものです。 それは、夜の名残が、まだ地面の奥にしみ込んでいる朝でした。空はすでに明るさを覚えはじめているのに、道は静かで、何も語りかけてきません。 目の前に白く伸びる一本道には、まだ誰の足跡もなく、まるで、書き始めたばかりの手紙のようでした。雪は均され、冷たく、やわらかく、ただそこにあります。わたしは少しだけ立ち止まり、この道がまだ「始まっていない」のだなと察しました。 木々の枝には、夜を越えてきた霜が残っていて、光に触れるたび、ほとんど音のない粒となってほどけていきます。それは祝うためのきらめきではなく、これから…