音羽屋襲名公演も二ヶ月目に入った。まず夜の部を観劇したが、先月同様満員の入り。先月出演のなかった松嶋屋、東西の成駒屋(家)も加わった大一座。松嶋屋や芝翫の腰の入った芝居も観たかったところだが、例年歌舞伎座への出演が限定的である團十郎が二ヶ月連続で付き合い、十八番の『暫』も披露してくれているので、あまり贅沢は云うまい。 幕開きはその『暫』。云う迄もなく歌舞伎十八番の一つであり、「助六」と並んで團十郎が得意中の得意としている演目である。配役はその團十郎の権五郎、雀右衛門の照葉、鴈治郎の震斎、市蔵の蔵人、中車の茶後見、右近の行綱、芝翫の武衡、魁春の桂の前、高砂屋の次郎、そして腹出しに右團次・男女蔵・…