桜の落葉は、どうやら山を越した。梢周辺には残り葉一枚もない。下枝に散り残しが視られる程度だ。 日昼は穏やかな陽射しに恵まれても、陽が落ちるととたんに冷えこみが身に沁みる。西高東低の冬型気圧配置だとかで、日本海側は雪もよいだという。もう明後二十二日は冬至だ。 郷里は今年、猛暑に見舞われた。水不足もあった。農産物の値段は軒並み上昇した。国際間の貿易事情にもよったけれども。こういう年は、えてして豪雪に見舞われるものだと、農村古老の経験は云っている。 桜の梢近くの枝ぶりは、線香花火のごとき姿となった。隣のカリンの落葉は三分といったところか。山場はまだこれからだ。こちらは年が明けてからも降る。背景の空の…