永井均・森岡正博『〈私〉をめぐる対決──独在性を哲学する』明石書店2021年12月15日初版第一刷を少し読んだ。《 永井によれば、デカルトの「われ思うゆえにわれあり」もまた、その罠に落ちたのだった。すべてを疑うことによって、最後に残ったのは、いま疑っている「この私」 ではなくてはならない。デカルトは、いったんはそのように考えたのである。しかしながらデカルトは「この私」[”この”に強調点]があるという結論を、いつのまにか、 誰にでも当てはまるよな「私」があるという結論へと読み換えてしまった。これがデカルトの落ちた罠であり、ここには「何か不可避的な力がはたらいているのだろうか、 と永井は問うている…