今日は、ぼくの誕生日。……といっても、本当の誕生日はわからない。小さい頃のことはあまり覚えていないけど、生まれてすぐに母猫と兄弟猫たちと一緒に外でさまよっていた記憶だけはうっすらとある。雨の日にびしょぬれになったこと、お腹が空いて何日もご飯が食べられなかったこと、寒さで震えて丸くなっていたこと。そんな毎日が、ずっとずっと昔の夢みたいに感じる。 だから、ぼくの誕生日は、母ちゃんが決めてくれた日。「ちくわがこの家に来たのが7月7日だから、今日が誕生日だね」って。七夕の日。星が綺麗で願い事が叶うって言われてる日だ。 朝、起きると、母ちゃんが「ちくわ、お誕生日おめでとう!」ってぼくをぎゅっと抱きしめて…