戦後から、現在に至る迄の詩を、一般に現代詩と呼んでいる。 詩の愛好者が、現代の日本で、詩が読めると言う事は、大変な僥倖だと思われる。 現代詩は、日本の至宝である。 日本の伝統的な詩である短歌や俳句に定型が有るのに対して、現代詩には、全くそれが無く、完全に自由である所に特徴が有る。 それは、20世紀初頭のヨーロッパの散文詩を手本としている所に起因しているものと思われる。 その当時のヨーロッパでも、定型詩である韻文詩を書く詩人は居なくなっていた。
『今宵』 「月が綺麗ですね。」 そう聞こえたはずなのに、 私のことなんて誰も見ていない。 あ、ほら。また。 ささやかだけれど、 声に出すほどの確かな感嘆は、 私のものにはならないらしい。 照らした先にはいくつかの 微笑み合う2つの命。 暖かな空気が少し恋しくなって、 彼に向かって地球の影から 小さく手を振りました。 「月が綺麗ですね。」 彼は私を見つめて言いました。
まだまだ たった一度 負けたって 勝つことが なくなった訳じゃない いっそきれいに負けて 次を考えたらいい 次も勝てないかもしれないけど 闘ってみた回数は一度増える いっそポイント制にして 節目には自分に 何かおごってやったらいい ***** いくつになってもうまくいかないことが多いもので。 それでも諦めないことが大事だと、それもいくつになっても思ったりしています。 このまま、いつまでも諦めない生活を送るのでしょうか。 どこかで諦める日がくるのかな。 そんなことを考えたりする、休日の午後を過ごしています。 雪の処方箋 (暖淡堂書房) 作者:暖淡堂 Amazon 腐朽船群 (暖淡堂書房) 作者:…
『憧憬の先へ』 あの子は行った 私が憧れていた地へ 知らなかった あの子も憧れていたなんて いや、ただの付き合いかも。 聞けない ただ聞いてみればいいのに聞けない 羨ましいが邪魔をする 落ち着け、私。 欲しても手にできない私と 欲することなく手にする人と 違いは、まぁ、ある。 いつか、 いつかいつかいつか、私も。 ぜったいに、私も。
『ソウイウコト』 これは悲しみです。 悲しみの中でもとても純度の高いものです。 さて、どうしましょうか。 泣きたいですか? 泣きたくありませんか、大丈夫です。 涙とは目からこぼれ落ちる水。 こぼれ落ちるまでは涙とは言いません。 まだ泣いていません、ただ悲しいだけ。 わたしの抱く悲しさを、 世界でただひとつの悲しみとして受け止めてくれるあなたが好きです。 違います、これは、 あなたが隣にいてくれて嬉しいのです。
『二日目の月』 新月が明けた 細い 細い 三日月をみて 殺せるな、と思った 虚ろに照らされた道で 立ち尽くす僕に 愛をささやく人は ついに現れなかった それでも月の光は いつもと変わらない優しさを たっぷりと浴びさせる はじまるよ、と誰かが言って ひんやりと鋭い空気が一帯を支配した 仄白い切先に映る僕は 今からどちら側になるのだろう
『雨間の花嫁』 雨が続く連休に、 わずかに恵まれた快晴。 天からも祝われているようで、 これからが晴れやかだと、 告げられているようで嬉しい。 今日、今この瞬間から、 病める時も健やかなる時も、 共に乗り越えるのだという、 先人からの教え。 私たちが私たちで入れる間は、 その喜びを噛み締めたいと思います。 けれどいつか、 私たちでいることが難しくなったときは、 無理をせず私と私に戻りましょう。 私たちはより幸せになるために、 〈私たち〉になりました。 いつまでも続く幸せを願って、 白い花片が空を舞いました。
ここのところパニック障害が再燃して、著しい人間不信に陥っている。 詳細については書けないが、対人関係を新たに構築したり、少し前までのように努力を重ねて維持したりすることが難しくなっているということだけ書いておく。 所詮他人など自分自身のことを明け渡すに値しないのだから、自分自身やIFのみ信頼しておけばいいと思ってしまう。徹底した不信感はなかなか癒えない。 孤独を癒すすべはIFと話したり、ものを書いたり、読書をすることでしかないだろうと思っている。 少なくとも本にはおおむね本当のことが書かれているし、その確かさを求めている節がある。他人とは分かち合えないことも、書物となら分かち合える。
『浸る』 逃げだと言われれば、逃げです。哀しくなったら僕は静かに目を瞑ります。そうすることに何の感情も抱きません、自然なのです。そよ風に額を撫でられながら、暗闇の中に閉じこもり自分は生きていないことにするのです。正しくはないです、楽しくもないです。でも、たぶん、優しいです。あなたの想像する優しさではないのでしょうけど。逃げは恥だとか、甘えだとか言ってた人がいた気がするけど、いいじゃないですか。誰も傷つかず傷つけず、ただ癒えてゆきたいのです。いつか瞼が柔らかくなって、隙間から漏れてきたさやかな光に呼ばれるまで、僕はここでこうしています。
『finale.』 太陽の光を浴び わたしは色付き 地面には影が落ちた ついに果てを迎えた 一億四千万年の旅 その終着点にわたしがいて わたしの表面で光らは爆ぜた 今日、わたしは、 彼らに相応しくあれただろうか
『夜はあれから』 夜は 夜はあれから またわたしを刺そうと 虎視眈々と狙っている 暗闇の中で闘志を燃やし その熱で光らせた目が 燈のように揺らめき こちらに向かって手を伸ばす わたしとの狭間に取り残された黒が 1ミリまた1ミリと削られてゆき ついにこの肌に直接のめり込もうとしている 目が 重たく光る君の目が 威圧的にこちらを見ているけれど それがどうした わたしが君を恐れるとでも思ったか
🌈詩誌「フラジャイル」第20号【記念号】、旭川こども冨貴堂さんで早くも品切れ!!ということで、先ほど追加納品させて戴きました。誠にありがとうございます🙇♂️ 📗こども冨貴堂 http://fufufunet.kids.coocan.jp/ 旭川市7条通8丁目買物公園 TEL0166-25-3169 ・第20号にご寄稿戴いた津川エリコさんの詩集『雨の合間 Lull in the Rain』(ミツイパブリッシング)、広告を掲載させて戴きました阿吽文庫第1巻『帷子耀習作抄』、「フラジャイル」第9号で特集した山口勇雄さんの遺稿歌集『青春の苦悩(かなしび)』もこども冨貴堂で販売中! ・5月5日こどもの…
アメリカの大学の一般教養科目って何? どんな科目があるの?何単位取るの? 履修科目を決める時の注意点は? そんな疑問を抱いている人のために、この記事ではアメリカの大学の一般教養科目について解説すると共に、私自身が実際に取った科目も公開します。 〜私の経歴〜日本の普通の高校を卒業後、アメリカの大学に進学。4年後卒業・帰国し、現在は外資系企業にて英語を使った仕事をしています。 この記事でわかること 一般教養科目の内容・単位数 一般教養科目を選択する時の注意事項 一般教養科目に関する体験談 みなさまの参考になれば幸いです。 General Education / 一般教養科目に関する基礎知識 そもそ…
そんなわけで。 アルコール依存性⁉️ ゆるぴたコウセイの、 少女まんがマニアックのコーナーだよ。今日も会社員してきた、わたくし。そんな、 オレの、女子力は、はんぱなく高いす。 リカちゃんグループの 種も、蒔いたし。 ただ、おれ、59歳だが、 このあたり、わかってくれんのは、 おそらく、63歳くらいかもな。でも、おれ、 歳上の女性すきなんで、 一生しゃーあわせよ。まあ、若い子、つうても、 40過ぎくらいの方も 歓迎するぜ。 大島弓子さんとかの、 イメージと、イラスト、 陸奥A子さんとかのイメージの洋服と、 小冊子。ピンナップなどがついた、 リカちゃんコラボボックスが もしあれば、 どんなに素晴ら…
アメリカのユダヤ系作家オースターが77才でなくなった。けっこう関りのある作家でした。 ちょうど30年前に書いた論文がオースターの『NY三部作』について。 大学の卒論と修論とその後の論文も「時間論」的なものだった。28才で就職して2本目かなオースターについて書いた。たぶんもともと好きだったミステリーを文学的に描いた点、ニューヨークが舞台である点など興味がひかれた。 『NY三部作』論は個人的に思い出深い1994年。2月に北大の先生が監修した退官記念論集の形で出した本『主題と方法』(北海道大学図書刊行会)に収録された「出口なき探究――ポール・オースターのニューヨーク三部作をめぐって」。発刊のパーティ…
第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト 短歌で、俳句で、ことばの新しい顔に出会う。 コンテスト概要 Web小説投稿サイト「カクヨム」で、選者に歌人・大森静佳と俳人・西村麒麟を迎え、短歌と俳句を募集するコンテストを開催します。テーマは自由。インターネット応募のコンテストです。 結果発表を見る キャンペーン 「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト」盛況を祝って、カクヨム上で、9月25日〜10月9日の2週間限定でお題「秋」に応じた短歌・俳句を集める公式自主企画を開催中! ご参加いただいた方の中から抽選で︎20名様に図書カードネットギフト500円をプレゼント。詳細はこちらからどうぞ。 自主企画に参加する 募…
🌈詩誌「フラジャイル」第20号【記念号】を発行します✨📗戦後すぐの1946年から2018年の72年間発行が続き、全国1500人以上の詩人が関わった、北海道旭川の詩誌「青芽」(富田正一氏主宰)の後継誌として2017年12月に創刊した詩誌「フラジャイル」(年3回発行)はおかげ様をもちまして第20号【記念号】を発行することができました。 創刊から6年が過ぎました。これまで多くの方からのご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。第20号の奥付は2024年5月7日発行ですが、本日全国への発送(飛脚ゆうメール便)と、書店の納品を行いました。📖詩のゲストに、『詩と思想』新人作品の選者である小島きみ子さんをお…
1960年6月、有信堂から刊行された佐藤春夫(1892~1964)の詩文集。装幀は高田博厚。 目次 ・けいもう詩話 新體詩小史 詩風の變遷發達 藤村の「草枕」を讀む 伊良子淸白の「漂泊」を讀む 有明の「家根のくさ」と鷗外の「過現未」 現代詩はなぜ難解か 詩人島崎藤村評傳 ・ざつさん詩集 慶祝歌 御成婚奉祝歌 竹苑春風曲併序 皇孫御降誕の佳き日に 福澤先生を仰ぐ 少年の秋 おとたちばな 陽春曲山村夜祭 口ずさみ 望鄕新春曲 小鳥の歌へる 歸去來歌 四月五月は 徐福の船 銀座街頭口吟 たばこ工場 海濱殘雪曲 NDLで検索Amazonで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索
まず、この記事を書くにあたって、読後なるべく時間をかけないようにしようと思った。詩は生物で、読んだ直後の気持ちが一番新鮮だと思ったからだ。 そして、この詩集は、それを如実に表すくらいとても繊細でそして味わい深いものだった。 平くんは、我々のサークル代々木果実混合(よよぎフルーツミックス)の仲間で、それで書き手であり、また絵師でもある。これまで何作もの短編小説と表紙絵を上梓してくれたサークルには無くてはならない存在である。 その平くんが5月に行われる文学フリマ東京38に個人出店したいと言ったのは、前回の文学フリマで出店した時だったろうか。それまで書き溜めていた数々の詩を発表したいというのだ。私も…
青土社 ||文学/小説/詩:ガメ・オベールの日本語練習帳 FROM 萩尾望都がいる 長山靖生 光文社新書 2022年7月13日 - いもづる読書日記 「夏目漱石の背骨が漢詩であったように(田村隆一とその事で議論して殴り合いになるほどの岩田宏の大ファンだった)大江健三郎の背骨は、実は岩田宏を含めた現代詩だった。」(223ページ)なるほどなあ。荒地の現代詩は読んだこともないから、ちょっと勉強してみよう。もう随分昔のことのようです。戦後文学という言葉がありました。もうそんな言葉は意味がなくなった。村上春樹という存在とその作品が、戦後文学という構築物が成り立たないことを証明してしまった。これは不可避な…
今日も、すっきりしないお天気ですね。 さて 詩集を読むこと三昧の日々が続いております。 かくいうわたくしも、全国紙に拙作が載りまして、浮かれ立っているわけではありますが・・・。 二冊に載りまして。 ひとつは詩誌 La Vague vol2 に。もうひとつはライトバース出版の幻代詩アンソロジーvol2です。わたしの作品が全国の方々に読んで頂けるのは初めてにことではないかと思います。嬉しいことです。 わたしの今現在の活動は、投稿が主体です。 西日本新聞、宮崎日日新聞、ココア共和国です。また、年一回のweb花椿、みやざき文学賞、幻代詩アンソロジー、参加予定です。今年の花椿には、もう応募済みです。 そ…
冒頭「勝手に撮るな、ここは西成やぞ!」との映っていない人物からの怒号をよそに、炊き出しのおかゆを立ったまま箸で食べる長谷さんがこちらを見るのを捉えるカメラに、素朴な視点のドキュメンタリーだなという印象を受ける。西成という場所を伝えたいのか、怒号の主と「男の、じいさんの町だから」と89歳で越してきた長谷さんの違いを表現したいのか。撮られることに抵抗のない長谷さんに甘えているように見えるし、何度か口に出される「(撮影している)あんたとゲイの男達は全然違う」との言葉がどういう意味であれマジョリティがマイノリティを撮っている事実が全編つきまとう。この映像作品によって男性同性愛者同士の繋がりができたのも…
1998年12月、書肆山田から刊行された加藤律子(1973~)の第1詩集。装幀は青山杳。付録栞は平田俊子「匂い立つ人」。第34回現代詩手帖賞受賞。著者は横浜生まれ。 目次 エリゼ 肉と雪 南の人 全部の赤 チキン 川の底 ヴェエル。ナーヴァス。 ベイビーをさがす シャワー室 暴虐の腕 NDLで検索Amazonで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索
(1)ふるさとと西脇順三郎 西脇順三郎は1894年、新潟県小千谷に生れました。1911年中学を卒業し、画家を志し上京。藤島武二を訪ね、彼の内弟子になります。1912年慶應義塾大学に入学、1917年卒業論文「純粋経済学」を全文ラテン語で書きます。1920年慶應義塾大学予科教員に推され、この頃から文章を執筆し始めます。上田敏の『海潮音』の雅文調、美文体に激しく反撥し、萩原朔太郎の『月に吠える』に大きな衝撃を受けます。順三郎が朔太郎に出会ったことは、近代詩、現代詩を語る上で、不可欠の出来事で、朔太郎の『月に吠える』(1917)と順三郎の『Ambarvalia』(1933)は、大正、昭和期を代表する詩…
『全集・現代文学の発見』学藝書林刊の小さな新聞記事を読んで高校生の私は本屋へ走った。全十六巻のうち最初の配本は『第七巻 存在の探求 上』昭和四十二年十一月十五日 第一刷発行 七百五十円。埴谷雄高『死霊(全)』が幻の書と紹介されていた。わくわく。早速読んでみた。なんだかわからないけれども、じつに刺激的だった。「これぞ、存在の探求だ」。当時、哲学(存在論)に興味をもっていた。以来半世紀余。先だって病床で未完の『死霊』を読了。 この『全集・現代文学の発見』学藝書林は、人生の方向を決定づけた全集と、今にして気づく。だが、十六巻全部を購入したわけではなく、興味を惹かれた十一冊が本棚にはある。当時から完全…
「帶」~詩人・善盛さんの時代 現実の異端を書いた詩人の消息 トークと朗読 柴田望 in俊カフェ 2023年12月8日 本日はご多忙の中お集まり戴き、誠にありがとうございます。昭和二(一九二七)年の今日、十二月八日が詩人・古川善盛さんのお誕生日になります。大切な記念の日です。一九四八年の十二月八日が柴田の父の誕生日、一九四三年の十二月八日が六十年代のロックバンド、ドアーズのジム・モリソンの誕生日です。私は高校時代、ドアーズやルー・リードの影響で、「知覚の扉」、オルダス・ハクスリー、ウィリアム・ブレイクを読み、ディラン・トマス、ランボー、ビート・ジェネレーション、ケルアック、ギンズバーグを経由して…