生物集団における病気の流行状態を研究する学問。ある期間、ある集団において、ある特定の病気が流行した場合、その流行の原因を調べ、その原因を除去することにより流行を制御するための学問。当初は伝染病が対象であったが,今日では広く交通事故,癌(がん)なども対象とされる。さらにその方法は健康者,長寿者の分布増減やその影響要因の探求にも応用されており「健康の疫学」と使われることもある。
コホート研究:薬学生のための基礎知識 コホート研究とは? コホート研究は、ある集団(コホート)を一定期間追跡し、特定の要因(例えば、喫煙、特定の薬剤の服用など)と、特定の病気(例えば、肺がん、心疾患など)との関連性を調べる研究方法です。 特徴 集団を長期に追跡: 曝露群(要因を持つ集団)と非曝露群(要因を持たない集団)を比較し、時間の経過とともに病気の発症率にどのような違いが現れるかを調べます。 因果関係の推定: 曝露と病気の発症との間に時間的な順序があり、他の要因の影響を調整することで、因果関係を推定することができます。 多様な研究対象: さまざまな疾病や要因を対象に研究することができます。…
doi.org 【背景】漢方薬は様々な症状・疾患に対して保険適応が認められている。しかし、急性心血管病患者における漢方薬の全国的な使用状況は不明である。 【方法と結果】日本のDiagnosis Procedure Combinationデータベースを用いて、2010~2021年度に1,798病院で急性心血管病(急性心筋梗塞、心不全、肺塞栓症、大動脈解離)で入院した患者2,547,559例をレトロスペクティブに同定した。漢方薬が使用された患者は227,008人(8.9%)で、年齢、性別、重症度、主診断に関係なく、2010年(4.3%)から2021年(12.4%)にかけて3倍に増加した。使用された…
実際の完全データセット二種類に対して欠測率を変えながらMCARを人工的に生じさせ、各種補完方法の代入エラー率、予測性能(誤分類率)を評価 Waljee, A. K. et al. Comparison of imputation methods for missing laboratory data in medicine. BMJ Open 3, e002847 (2013). https://bmjopen.bmj.com/content/3/8/e002847 <方法> 実際のRetrospective study dataを用いて、MCARを人工的に発生させ、補完データと元データ(非欠…
身も蓋もないが研究結果は事実なのだろう。 -------講義録始め------ 次に、患者、病気や障害を持つ人、あるいは家族、地域として、異なるレベルでの研究対象の捉え方と研究のアプローチについて紹介していきます。人間の集団において、疾病や異常の頻度と分布について、人の属性、時間、場所の面から観察して、その特徴を明らかにする疫学的なアプローチがあります。国や都道府県、学校、職域別など人口集団別の特徴を把握することによっても、人口 集団の特徴が疾病の発生と関与しているかどうかの考察や、疾病対策を考える上での優先度を考える手がかりになります。患者調査や死因別死亡率などの動向は都道府県、市町村別にデ…
前回,「"稀な疾病"とはどの程度稀なのか?」という記事を書きました. sacoche.hatenablog.com 今回は稀でないイベントに対する回帰モデルの簡単な紹介をします.2値アウトカムに対する回帰モデリングではロジスティック回帰がよく使われていますね.イベント発生割合が10%以下であれば,ロジスティック回帰を適用することに基本的に問題はないと思います.しかし稀でないイベントでオッズ比を求めてしまうとリスク比との乖離が大きく,効果の指標として不適切かもしれない,という話を前回やりました. 今回は,イベント発生割合が10%を超え,rare disease assumptionを仮定できない…
疾病の有無やイベント発生の有無など2値を取るアウトカムに関する分析の中で,リスク比 (Risk Ratio; RR)とオッズ比 (Odds Ratio; OR) はとても頻繁に登場する効果・関連の指標です. リスク比・オッズ比を勉強する際に,必ず聞くフレーズがあります.「稀な疾病・イベントの場合,オッズ比はリスク比に近似できる」です. しかしながら,稀ってどの程度?とか,稀でないときどうする?はそこまで有名ではないかなと. そこで,このトピックについて,2回の記事で簡単に(?)まとめていきましょう.今回の記事では,「稀とは?」を説明します. 目次 稀とはイベント発生割合が10%以内 稀でない場…
本日は久しぶりに論文紹介をさせて頂きます。 今回の論文はSEERという米国のガン統計を使用して、脳幹腫瘍のIncidence-based mortality rateのトレンドを調べ、年齢・性別・人種でどのような違いがあるかを検討した論文です。 https://academic.oup.com/noa/article/3/1/vdab137/6371862 先日受理されたばかりで、足掛け一年以上になる思い出深いものです。 「論文を執筆するに至った経緯」 ノースウェスタン大学には脳腫瘍を研究されている日本人研究者が多く在籍しておられたこともあり、彼からの研究内容をよく目にする機会に恵まれました。…
今回の記事は、またユニークな論文の紹介です。政治体制と疫学の関係ともいえるもので面白い論文です。 BMJ 2020; 371 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m4040 (Published 23 October 2020)民主主義と健康の研究:特別論文自動化と国民皆保険:総合的な管理研究 概要 目的:民主化(民主的特性の大幅な低下(自由で公正な選挙、市民的および政治的結社の自由、表現の自由))と国の国民健康の結果および国民皆保険(UHC)への進展との関係を評価すること。 国の政治的特性として、自由・公平な選挙制度、市民団体や政治結社の自由、表現の自由といった…