病室での養老孟司氏 解剖学者で東京大学名誉教授の養老孟司氏(87)が「がん」になった。現代の医療システムに異を唱え、「検査嫌い」「病院嫌い」を公言してきた養老氏は、どのように「がんの壁」に立ち向かったのか──当人に聞くと、難病に対する心構えや、治療時の指針まで、示唆に富んだ養老節が聞こえてきた。【全文公開】 「ただの肩こりじゃねえ」 〈どんな病気だって死ぬ可能性はあるし、生まれた以上、誰でも死ぬんだから。 がんを告知されても『えー、がん? あっ、そう』」で済ませればいいんですよ〉 今から20年前、本誌『週刊ポスト』(2005年8月12日号)の取材にそう話していた養老孟司氏(87)。当時67歳だ…