京都市にある心療内科「中京こころのびょういん」。ここを訪れる心の不調を抱えた患者たちに処方されるのは、薬ではなく――本物の猫。猫を“服薬”する、少し不思議でやさしい物語。第11回京都本大賞受賞作品です。 仕事に疲れ切った人、人生の選択に迷う人、誰にも打ち明けられない孤独を抱えた人たち。そんな彼らの生活に、猫は静かに入り込み、共に暮らし始めます。 確かに癒やしはある。けれど、猫は人を慰めるために存在しているわけではない。気ままで、思い通りにならないその姿が、無理を重ねてきた人間に「そのままでいい」と、言葉ではなく態度で教えてくれるのです。 気に掛ける存在と共に暮らすこと。そこに生まれるのは、自己…