2013年1月号掲載 毎日新聞夕刊編集部記者/藤原章生(当時) インタビュー記事が『毎日新聞』に載ってしばらくして、佐藤愛子さんからはがきが届いた。今度、またゆっくりとおしゃべりに来て下さいと書かれていた。 佐藤さんは89歳なのにとても若々しく、よく笑う愉快な人だ。時にずけずけと好きなことを言い、ちょっとしつこい感じの語り口も楽しく、私は是非にと、再び世田谷区太子堂のご自宅を訪ねた。 いま『オール読物』に連載している、別れた夫の心の奥底を探る小説「晩鐘」の話を中心に2時間半ほど、いろいろとおしゃべりをする中で、やはり作家だなあと思う瞬間があった。話はこんな風な世間への愚痴、ぼやきから始まった。…