前回に引き続き、勘三郎追善興行昼の部の感想を綴る。打ち出し狂言は『籠釣瓶花街酔醒』。次郎左衛門は亡き勘三郎がその襲名公演でも演じており、先代勘三郎からの当り役。今回勘九郎が初役で挑んだ。一方女形の大役八ッ橋に、これまた初役で七之助。この役は平成以降、福助・大和屋・先代、当代の雀右衛門・山城屋・菊之助しか勤めておらず、しかも山城屋と当代雀右衛門はそれぞれ一度きりしか演じていない。殆ど大和屋と福助が専売特許の様な形で演じてきたものだ。 配役は中村屋兄弟に加え、児太郎の九重、橋之助の治六、芝のぶの七越、鶴松の初菊、歌女之丞のお辰、梅花のお咲、桂三の丈助、片岡亀蔵の丹兵衛、松緑の権八、時蔵のおきつ、歌…