この四十数年来、会うことはないのだが、年賀状だけを交換している知人がいる。僕が経済記者だった頃、取材先の広報にいた人物で、何かと世話になった。僕より少し若い。今は80歳になったかならないかだろうか。千葉市に住んでいる。その年賀状は近況やら何やら、一風変わった文章で、まさに文字だらけだったが、今年はなぜか来なかった。その彼から先月、大きめの封書が届いた。今頃、何だろう? 喪中の知らせかな? 不思議に思いながら、開封して驚いた。大げさではなく、しばらく絶句した。「みなさん、いかがお過ごしですか?」の後に、次の文が続いていたからだ。「私、○○は2年前に網膜剥離になり、手術をしましたが、視力を失ってし…