2020年8月号掲載 毎日新聞夕刊報道グループ記者(当時)/藤原章生 新聞記者は単純なもので、自分の原稿が大きく載ればうれしいが、ようやく出たかと思えば小さな扱いだと、いまいましい気分になる。最近、そんないまいましさを思い出した。 特派員としてアフリカ、ラテンアメリカ、イタリアなど南欧をカバーしていたころ、私の主な仕事は読み物、企画記事を書くことだった。1回1,000字ほどの長さで3回から7回ほど連載していた。もちろんニュース記事や大型企画を書くこともあるが、私は連載が一番自由で、好きなように書けると思い、このスタイルを貫いてきた。 だが、記事の大きさや扱いを最終的に決める外信部長や副部長には…