『落下する夕方』江國香織著を読む。 はじめにタイトルにひかれた。カンディンスキーやミロあたりがつけそうな良いタイトルである。 『落下する夕方』、それは何を象徴しているんだろう。落日の恋かもしれない。恋がキラキラしていて、甘いのって、ほんの一瞬だよね。後は、苦かったり、退屈だったりして。でも、そこから本物の恋になっていくと思う(なんてね)。 主人公・梨果は、子ども向けのアートスクールの先生。ラガーマンだった体育会系の恋人・健吾と一緒に暮らしている。お互いになかなか結婚に踏み切れないうちに、ある日、彼が彼女に別れを告げる。彼に新しい恋人華子ができたからだ。 こともあろうに、まもなくその新しい恋人、…