長いようで短かった小学生も終わりに近づいた頃、それまで見向きもしなかった小説を読むようになった。 「絵が殆ど無い本なんて読みたく無い」 そんなことを言っていたのが嘘みたいだった。 きっかけは深沢美潮さんの「フォーチュン・クエスト」だったのではなかろうか?カラフルで可愛らしい迎夏生さんの表紙に惹かれて手に取っただけだったが、読み始めるとドラクエのようには行かない冒険の世界を、詩人でマッパーな方向音痴主人公と歩む楽しさで胸がいっぱいになっていった。テーブルトークRPGの世界の一端に触れた意味でも、自分には大事な作品なのかもしれない。その後も表紙の絵に惹かれて田中芳樹さんのアルスラーン戦記を読むよう…