どんな本 映画「喜劇 愛妻物語」「百円の恋」などの脚本家・足立紳氏の小説家デビュー作。2016年2月に幻冬舎から刊行された元版の単行本では「乳房に蚊」の題名だったが、幻冬舎文庫に入るにあたり、同時に映画化も進み、そちらの題名に合わせて改められた。 感想 今の自分は妻を一所懸命愛せているのか?について考えさせられる一冊であった。主人公のような惨めな生活は送りたくないと思いつつも、男なら誰しも共感・思い当たるような心情描写がふんだんに盛り込まれてくるため、非常に引き込まれ、それゆえ辛い。登場する娘のことを考えると、これまた辛い。千差万別、夫婦の形は星の数ほどあるのだろうけれど、やるせない気持ちでい…