封切り三日目。 席数154の【CINE9】の入りは二割ほど。 今時でもこんな安アパートが残っているのだな。 場所はおそらく、大阪の鶴橋界隈。木造二階建ての六畳一間のスペース、トイレや洗面所、台所は共用、風呂は無し。 しかし、住人たちは月に一度の家賃の徴収日になると事前に回ってきた情報により逃げ惑う。 まるで江戸時代の「おおつごもり」のよう。落語であれば笑えるが、本作では面白いとも感じられないシーンが続出で思わず口を開いてしまう。 物語はそうしたタイミングで、更に住人の一人『山口』さんの首つり自殺が発見されるところから幕を開ける。 作品は基本章立てになっており、最近流行りの、各パートの最初に人名…