訓読 >>> 君が家の花橘(はなたちばな)は成りにけり花なる時に逢はましものを 要旨 >>> あなたの家の花橘は、もう実になってしまったのですね。花の咲いているうちにお逢いしたかったのに・・・。 鑑賞 >>> 作者は遊行女婦とだけあり、名前は分かりません。「君」は、大伴家持を指しているかともいわれます。「なり」は、実になる意で、結婚の譬え、「花なる時」は、独身の青春時代の譬え。男性がすでに家庭を持っているのを知って「もっと前からお逢いしたかった」と言っています。宴席での歌だったかもしれません。 遊行女婦について 「遊行女婦」の「遊び」とは、元々、鎮魂と招魂のために歌と舞を演じる儀礼、つまり祭り…