訓読 >>> 草枕(くさまくら)旅行く君と知らませば岸の埴生(はにふ)ににほはさましを 要旨 >>> 旅のお方だと存じ上げていたら、岸の黄色い土であなたの衣を染めて差し上げましたのに。 鑑賞 >>> 難波の遊行女婦(あそびめ)とされる清江娘子(すみのえのをとめ)が長皇子(天武天皇の第4皇子)にさしあげた歌。文武天皇3年(699年)、長皇子が、持統太上天皇の難波行幸に従駕した際のやり取りとみられ、行幸とはいえ旅という立場からか、軽くはなやいだ歌がほかにも多く残っています。「埴生」の「埴」は、黄色または赤色の粘土で、布の染料として使われました。この時代、上町台地の西側は埴生の崖になっており、住吉は…