正徳1年12月2日。辰半(午前8時)から能が始まる。連枝様方が見物するのは丑年と同様のこと。楽屋奉行は水野覚太夫・蜷川伴右衛門が勤め、黒門頭は松井惣兵衛・遠山小兵衛が勤める。惣支度は汁・くづし2つずつ。大こん・いも・しめじ・午房・水和(みずあえ、なます)いり酒あへ・葉にんじん、するめ、香の物、冷酒、新酒。中入の間、白洲の町人には強飯(トリノコ)を1包ずつ下される。その上に饅頭も下される。1日に700人ほどずつの予定と云々。初めと終わりに2度襖が開き、公が現れて御目見がある。月番老中へ礼がある。御目見衆は月番国用人衆へ行くようにと目付の指図がある。日が暮れる前に能が終わる。隼人正が舞台階懸まで現…