戦争の危機が迫ったらどうするか。1951年、米国は占領を終えるにあたり、こんな約束をするよう日本に求めてきた。軍事的な能力をもつ日本の組織は「合衆国が指名する最高司令官の統一指揮権の下におかれる」 ▼日本はうろたえた。世に広まれば民心が動揺する。受け入れるが、明文化はしないでほしい。そして翌年、吉田茂首相はクラーク極東米軍司令官に、口頭で同意を伝えた――。日米の公文書に刻まれた、いわゆる「指揮権密約」の一幕だ https://www.nids.mod.go.jp/publication/senshi/pdf/202204/03-2.pdf ▼外交とは祖国のために偽りを言う愛国的な技術だ、とビア…